2017年2月12日日曜日

もしも出会えていなかったら(福嶌教隆先生最終講義)

大学時代の恩師、福嶌教隆先生の最終講義ということで、
昨日、母校を訪れました。

「スペイン語の先生」としてあまりに有名な福嶌先生のことを、
この場でどんな風に説明したらいいのか分かりません。
NHKテレビ・ラジオの語学番組にも出演され、著書も多数。
研究者としての功績は、私などにはとても説明できないほど。

しかし私にとっては、「教育者」という意味で、
本当に素晴らしい「先生」でした。

大学時代の先生の授業は、いつも、いつも、
驚きと工夫に満ちていました。
生徒を楽しませること、生徒に興味をもたせること、
生徒を授業に参加させること、生徒の良さを引き出すこと、
そしてもちろん、
生徒にいかにスペイン語の力をつけるかということ。
すべてが緻密に計算され、
授業は毎回、小劇場にいるようでした。

昨日の最終講義も、その先生の精神が最大限に発揮され、
司会の方が、「予想以上の参加者で急きょ会場を変更した」
とおっしゃっていましたが、それでも立ち見が出るほどの盛況。

先生はご登壇されるまでずっとコートを着たままでいらっしゃいました。
部屋の暖房が効いていないわけでもないし、
と思っていましたが、…やはり。

いざ講義となり、舞台上でコートを脱ぎ捨てた先生は、
真っ白なジャケット。
やられた、と思いました。
教室は劇場、授業は舞台、先生は名優で、
その登場、一瞬にして、私たちの心をつかむのです。

あっという間に過ぎた2時間の最後、
先生はスペイン語学の研究者として、
恩師の導きで「接続法」を専門にしてきたと語り、
それを結びにされました。

先生に出会っていなかったら、
今の私はありません。
Si no lo hubiera encontrado, 
no habría empezado este blog tampoco.
Ahora estoy aquí.


福嶌先生、ありがとうございました。
先生が教えてくださったスペイン語の面白さを、
私は私なりのやり方で、
一人でも多くの人に伝え続けよう、と思います。